【特集】オランダにおけるタマネギの収穫貯蔵方法(2015/5/20)

 オランダでは一般にどのような方法でタマネギが貯蔵されているのでしょうか。日本の常識は世界の非常識なのか? オランダのタマネギ貯蔵法についてご報告します。


 収穫条件:まだ青みが残っているタマネギを全体の60%が枯れた時に引き抜きます。タマネギは風が乾いている時にだけ茎を刈り取り、引き抜きます。茎は鱗茎から約10cmの位置で切除します。これよりも短く刈り取ってしまうと、首腐れ病が増えたり、(刈り取り作業の時に機械による)傷みの可能性がかなり高くなります。

 倉庫搬入:収穫されたタマネギは天候のよい時に1日か2日程度圃場に放置して乾燥させます。その後の乾燥は倉庫の中で行うことになります。タマネギの倉庫への搬入が天候のせいで妨げられる場合には、倉庫にすでに搬入されているタマネギに換気することが賢明です。ただし、悪天候が続いて何日も経過した後にタマネギの搬入を再開する場合には、すでに倉庫に入っているタマネギが過度に乾燥してしまうおそれがあります。

 首腐れ病対策:首腐れ病の病原菌は22℃から25℃の間で最も発育が盛んになります。そのため、この温度帯をできるだけ素早く通過させなければなりません。まず最初に22℃までの温度で乾燥を行い(温度を22℃近くまで上昇させておいて)、その後2~3日で30℃~32℃で乾燥させます。これにより、22℃~25℃の温度帯を素早く通過させることができます。燃料を節約するためには、夜にハッチを半分ほど閉めます。タマネギの首の乾燥が早ければ早いほど、病原菌やバクテリアが生長する可能性は低くなります。これによってタマネギの高品質が確保されることになります。

 換気:絶えず新しい乾燥した空気を引き込む必要があります。最も信頼のおける方法は、タマネギの周りの絶対湿度(g/kg')を外から引き込む空気の絶対湿度(g/kg')と自動的に比較することです。外気の湿度が高い場合には、空気の入れ替えは最少にとどめるべきです。タマネギの乾燥が進むと、タマネギから吐き出される空気の水蒸気飽和度が低くなってきます。経済的にタマネギを乾燥させるためには、少なめの空気量にすることが大切です。内外空気の最小の絶対湿度差で最適な乾燥が自動的に進むように、ストーレージコンピューターの設定を合わせる必要があります。暖めるために必要なヒーターの能力が十分でない場合には、乾燥は遅くなります。ストーレージコンピューターが自動的に倉庫のハッチの位置を調整して、空気の温度を調節します。当然、タマネギから水分を逸散させるためには十分な空気量が必要となります。

 いつ乾燥が終了するのか貯蔵において、乾燥は低温よりも重要です。
 ・タマネギは周囲の空気と平衡に達するまで水分を発散していきます。倉庫での乾燥段階でタマネギが平衡に達しなければ、温度の低下期間中及び
  貯蔵期間中にも水分が発散し続けます。この場合には悪条件下で余分な換気を行うことになります。
 ・よく乾燥したタマネギは発熱量が少ないため、温度コントロールがより簡単かつ安価に行えることになります。
 ・湿ったタマネギの品質は急速に低下します。
 したがって、タマネギの乾燥は夜昼なくタマネギが乾燥しきるまで継続します。乾燥の終了を確認するための目安は以下のとおりです。
 ・タマネギの周囲の湿度が20℃の場合に相対湿度が60%~70%に達すること。
 ・タマネギに吸い込まれる空気とタマネギから吐き出される空気の温度に差がなくなること。
 ・首部分が乾燥していること(親指と人差し指でタマネギの首部分を揉んでも滑らずカサカサしている状態)。
 以上が確認できない場合には、乾燥を継続すべきです。実際に生産者は乾燥が不十分な状態で止めてしまうことが多いです。収穫後のタマネギを乾燥した場合、一般的には8%~10%程度の減量になります。

 全体的な貯蔵プロセスは以下のとおりです。
 1.第一段階:乾燥
 ・吹きこむ空気の温度をタマネギよりも常に2/3℃だけ高く保ちます。
 ・タマネギの温度が30℃に達したら、4日間その状態を保ちます。
 ・その後で、1日に0.5℃ずつ、20℃まで低下させていきます。
 2.第二段階:維持
 ・ヒーターを使用して、温度を20℃に保ちます。
 ・タマネギの表皮の色を良くするためには、倉庫に搬入してから約3~4週間経過するまでは20℃以上に保つことが必要です。
 ・この期間中は、タマネギの外皮がしっかりとしてくるまで換気を続けることが重要です(外部換気または内部換気)。
 ・20℃で65%~70%の湿度の場合、タマネギは十分に乾燥しています。
 3.第三段階:温度低下
 ・水分の除去と温度の低下が引き続き行われます。
 ・外気の絶対湿度が製品の絶対湿度よりも低い時だけ外気を引き込みます。
 ・年内にはあまり温度を低下させ過ぎないようにします。これは、換気の機会が少なくなるためです(注意:オランダでは秋冬の気温があまり低く
  ならないことによります)。
 ・温度低下は1週間に1℃から1日に0.5℃程度に抑えます。
 4.第四段階:低温維持
 ・重要なのは、タマネギの温度と乾燥状態を保つことです。
 ・タマネギの温度を維持するために、最初の6週間は1日8~9時間換気します。
 ・その後は1日4時間換気します(外部換気または内部換気)。
 ・低い温度よりも乾燥の方が大切ですが、温度の上下は避けるようにします。
 ・貯蔵期間中は、必要な場合には若干温めた冷たい外気でタマネギを乾燥させます。
 ・外気冷却の場合には、製品温度を6℃以下に下げないようにします。
 ・4月や5月の遅い時期の販売を考えている場合には、3℃までに低下させることが望ましいです。冷凍機がついている倉庫であれば、1℃での貯蔵が
  可能です。
 ※オランダでは通常、畑で散布するMH剤(発芽防止剤)が使用されており、発芽の心配がないため、エネルギーコストと品質の観点から温度を選択
  しています。
 日本の場合、長期間発芽を防止するためには0℃前後での貯蔵が必要になります。

 上記の貯蔵方法に対応する貯蔵方式を日本に紹介している会社は、今のところ有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN、帯広市、山道弘敬社長)のみです。詳細についてお知りになりたい方は、同社までお問い合わせください。


有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN)ホームページ:http://www.tomten.co.jp
参考:Uienteelt.nl