ヒートアップで首腐れ病を低減(2015/5/29)

 オランダの有機栽培農家のタマネギ貯蔵試験では、温度上昇がネックロット(首腐れ病、和名:灰色腐敗病)やバクテリアによる腐敗を低減させることが立証された。


 タマネギの有機栽培で最も困難を極める問題の一つは貯蔵時の腐敗防止対策である。有機栽培においては殺菌剤や消毒剤などの薬剤利用も禁止されているために被害が広がることが多く、生産者にとっては最も頭の痛い問題であった。オランダのドロンテンを拠点とするシャーク・ツビスクとアーガ・シュリックの2人の有機栽培タマネギ生産者は、機械メーカーの協力を得て、2011年以来ヒートトリートメント(熱処理)による病害低減の可能性を探ってきた。その結果、40℃から42℃に温度を上昇させることで、腐敗率を4%にまで低下させることができたという。しかしながら、40℃に温度を上昇させることはタマネギそのものを傷める可能性もあるリスクの高い処理である。そこで、もう少し低い温度、例えば30℃~32℃での処理を試したところ、首腐れ病による被害率は無処理の場合の半分に低減できたという。これまでの試験結果では、温度が高ければ高いほど結果は良いということだが、あまり温度が高いとタマネギを傷めるおそれもあり、妥協点を見つけることが重要であると考えられている。さらに、この病害低減策は、圃場での茎を刈り取った後、できるだけ素早く行うことで効果が高まることも分かってきた。オランダでは、通常畑で茎を刈り取った後に2日間程天日干しをしてから倉庫に搬入して乾燥処理を行うのが一般的だが、この新たな試験成果に基づけは、特に有機栽培タマネギのケースでは天日干しを省いてすぐに施設乾燥することが貯蔵時の高品質維持には非常に有効だということになる。これまでも施設内で温度を上昇させてタマネギの乾燥を促進するという方法はオランダでは広く行われてきた技術ではあったが、温度を高めることは昇温のためにエネルギーを消費することからコストがかさむため、どの温度帯が最適なのか議論を呼んでいた。ところが、温度を上昇させることが貯蔵病害の被害低減に有効なことが明らかになってきたため、今後は少なくとも30℃から32℃に上昇させて乾燥させることが一般化される可能性は高い。

 これまでに分かっているタマネギの乾燥の効果は、以下のとおりである。

・畑での茎の刈り取り処理後できるだけ速やかにヒートトリートメントをすることが貯蔵時の病害低減に効果が高い。
・乾燥時の温度が高い方がタマネギの乾燥後の表皮の色を鮮やかに美しくする。
・乾燥時の温度が高い方が貯蔵時の病害低減効果が高い。
・乾燥時の温度が高い方が乾燥処理は早く進む。
・過度に高い乾燥温度ではタマネギを傷めるおそれがある。

 タマネギの温度上昇を施設内で行う方法には様々なものがあるが、直火型プロパンガスヒーターの燃焼ガスによるダイレクト加熱が最もコスト的には安くて効果的な方法であると考えられている。なお、日本では上記のようなオランダ型のタマネギの乾燥貯蔵方式を提供しているのは札幌市の有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN、帯広市、山道弘敬社長)のみである。同社は、オランダの野菜貯蔵庫の換気設備を提供しているモーイ・アグロ(Mooij Agro)社と提携して、オランダの進んだ貯蔵技術を日本に紹介している。


有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN)ホームページ:http://www.tomten.co.jpco.jp