日本初のタマネギ病害予察モデル、九州長崎県で稼働開始(2015/9/25)

 有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN、帯広市、山道弘敬社長)は、長崎県諫早市で日本初のタマネギ病害予察システムの稼働を開始した。


 有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN)は、オランダを拠点とする世界の農業ITリーディングカンパニー、デイコム(Dacom)社のタマネギ病害予察システムの本格稼働を長崎県諫早市で9月25日より開始した。この病害予察システムが提供するタマネギの病気予報の種類は、タマネギベト病(Peronospora destructor) 、タマネギ白斑葉枯れ病(Botrytis squamosa)、タマネギ白疫病(Phytophthora porri)、タマネギ灰色腐敗病(Botrytis aclada&Botrytis allii)、タマネギ葉枯病(Stemphylium botryosumPleospora herbarum)、及びタマネギ黒斑病(Alternaria porri)の6種類である。これと同時に、ネギアザミウマ(Thrips tabaci)の害虫発生モデルも稼働を開始したとのことである。

 デイコム社の病害予察モデルは、圃場に立てたリアルタイムウェザーステーションによる気象データと欧州最大の天気予報会社メテオコンサルト社の高精度天気予報「アンサンブル天気予報」を利用し、デイコム社が独自に開発した病虫害発生予報プログラムにより計算して、インターネットを通じて顧客に情報をフィードバックするというものである。ウェザーステーションは太陽光パネルと蓄電バッテリーを搭載しており、エネルギー自給の独立稼働型である。採集されたデータは昨年から一般普及が始まったウェザーステーションに搭載されている3Gモデムによって、データ通信ネットワークを介してオランダのデイコム社にあるデータバンクに直接送信される。デイコム社のメインフレームはデータ更新のたびに現在の病害発生リスクを計算して、提供されるソフトウェアやデイコム社のウェブサイトより情報が提供される。オランダを中心とする先進マーケットではすでにスマートフォンでの情報提供も始まっており、日本でも近々利用が開始されるものと予想される。

 
 デイコム社の病害予察システムは、1987年より「プラントプラス」の名称で商業的利用が開始されて以来、世界に普及拡大を続ける唯一の統合型農業IT技術で、40カ国以上で使用されており、22カ国に代理店が展開している。現在は、病害虫予察モデルのほか、土壌水分センサーを利用した灌漑情報サービスや、今のところオランダに限定されている肥培管理プロクラムの4つの情報サービスが行われている。

 このデイコム社の病害予察システムは、①地域全体に対する漠然とした予報ではなく、契約した生産者の一筆一筆を対象とする予報であること、②初発だけを予想するのではなく、栽培シーズン全体にわたっての予報モデルであること、③病害防除のベストタイミングを予報するだけではなく、ベストタイミングを逸した場合の前後策を可能な限りフォローアップすること、④病気の発生だけでなく、天気予報から圃場の防除条件も予報することなど、使用する生産者の立場に立った数多くのサービスを用意している。

 さらに、タマネギ以外にも数多くの作物の空気感染性の病害に適用可能なモデルが多数用意されており、 多くの生産者の防除の悩みに応えられる体制が整っている。

 今回のタマネギ病害予察モデルの九州での運用開始について、TOMTEN社の山道社長は次のように話している。

 「世界では今、地球温暖化の進行により、従来とは異なる天候が各地で報告されるようになってきています。その結果何が起きているかというと、生産者のこれまでの経験が当てはまらないような病気の発生や害虫の発生事例が頻発して、生産者が困惑・混乱しています。例えば、今年春には九州のタマネギの主産地である佐賀地方でタマネギベト病が大発生して、産地に深刻な被害を与えました。これと同じような事例が世界中で報告されるようになっています。このような世界レベルでの異常気象進行の真っ只中で、デイコム社の予察情報の高い信頼性が評価されています。これは、デイコム社の予測モデルが過去の病害発生データと気象データの単なる統計的解析モデルとは根本的に異なることによります。つまり、生物としての害虫、生物としての病原菌の生物学的なライフサイクルの研究をベースにソフトウェアが組まれており、環境が変化しても生物としての害虫や病原菌の環境への反応が変わらない限り、正確な発生予報が可能であり、現にそれが理由で世界中への普及が進んでいるのです。さらに、デイコム社のデータバンクには毎年何百何千という圃場の病害予察情報とその結果が集積されており、そのデータベースの解析がより信頼性の高いモデルへの改良を可能にしているのです。ここにおいては、今日もてはやされているビッグデータの解析がデイコム社のサービスの充実に拍車をかけることでしょう。21世紀の農業ITの本命はこのデイコム社のトステムであり、世界の農業者にとって有益なツールになることは間違いありません。」

 同社は今年秋からの長崎でのサービス開始を皮切りとして、今後順次日本全体への普及拡大を目指している。


有限会社TOMTEN(現 株式会社TOMTEN)ホームページ:http://www.tomten.co.jp
デイコム社ホームページ:http://www.dacom.nl/