進化し続ける欧州の疫病菌の現状を伝えるウェブサイト「EuroBlight」(2015/5/15)

 欧州の研究者たちが協力して維持管理している「ユーロブライト(EuroBlight)」ウェブサイトは、欧州の疫病菌の現状と対策を克明に伝えている。


 欧州ではジャガイモ疫病の研究者たちが協力してジャガイモ疫病の遺伝子型の変遷の追跡調査をしたり、ジャガイモ疫病用に使用が認められている農薬の相対的な評価を行っており、そこから得られたジャガイモ疫病防除に有用な情報を「ユーロブライト(EuroBlight)」ウェブサイトにおいて公表している。研究者たちは、2014年に1552種類のジャガイモ疫病のサンプルを分析して、それを地図上にプロットしている。欧州には二つの有力な疫病菌の遺伝子型が存在する。一つはブルーサーティーン(Blue-13)と呼ばれるEU13_A2型であり、もう一つはピンクシックス(Pink-6)と呼ばれているEU6_A1型である。前者は検体の約36%を占めており、カナリー諸島から北はノルウェー、東はルーマニアまで分布している。後者の遺伝子型の占有率は32%であり、イギリスでは優勢で、フランスやベルギー、さらにポーランドでも見つかっている。ブルー13は特に勢いが強いジャガイモ疫病菌と評価されており、警戒が必要とのことだ。

 欧州では20世紀の後半から疫病菌の有性生殖が継続して起こっていると考えられており、それが急速な疫病菌の遺伝子型の変化をもたらす原因であるとされている。毎年のように新しい型のジャガイモ疫病の病原菌が発生しては消えてゆき、その中から環境に適応したタイプの病原菌が他を凌駕して拡大していく様子が分かる。なお、ブルー13はA2メイティングタイプであり、メタラキシル耐性を有している。

 日本には、かつてユーラシア大陸を経て日本に伝播してきたと考えられている疫病菌の末裔が存在する。今後も同様な病原菌伝播が繰り返されると予想されるため、欧州の動向には注視が必要である。


参考:EuroBlightウェブサイト http://euroblight.net/