シロシストセンチュウ感染報告について (2015/10/7)
農林水産省は8月19日、北海道網走市の圃場においてジャガイモシロシストセンチュウ(Globodera pallida)の感染を確認したと発表した。
日本では昭和47年に北海道で初めてジャガイモシストセンチュウの圃場感染が報告された。当時はまだジャガイモシストセンチュウは1種類しか存在していないと考えられていたために、ジャガイモシストセンチュウと呼ばれたが、昭和48年にもう1種類の存在がイギリスで報告され、最終的にはゴールデンネマトーダ(Globodera rostochiensis)とペイルシストネマトーダ(Globodera pallida)の2種類が確認されている。日本で早期に発見されたものは前者のゴールデンネマトーダで、これをジャガイモシストセンチュウと呼んできた。後者は日本では感染が報告されていなかったが、今夏網走市で発見されたとの報告である。後者をジャガイモシロシストセンチュウと呼んでいる。
欧州はこの両方に感染している高度汚染地帯であり、ジャガイモの品種開発にはこれら2つのセンチュウに対する抵抗性は欠かせない形質となっている。日本ではこれまで前者に対してのみの抵抗性育種を目標に品種開発が行われてきたが、今後このシロシストセンチュウの汚染が蔓延していくと、両方のセンチュウに対する抵抗性品種を育種する必要性があり、育種プログラムの見直しを迫られる可能性が高い。
2種類のシストセンチュウはともにジャガイモの根に寄生する害虫で、収量の著しい低下をもたらすが、食用になる塊茎には何らの影響を与えず、消費者に影響することもない。
農林水産省のシロシストセンチュウ感染の報告:http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/syokubo/150819.html