火星環境下でのジャガイモ栽培実験 ― 初期段階の実験結果は良好(2017/3/11)

 南米ペルーの国際ポテトセンター(CIP)が火星に似た環境下でのジャガイモ栽培実験を進めており、過酷な環境で生育が可能かを検証している。


 火星の環境を再現してジャガイモを栽培するこの概念実証実験は、2016年2月14日に第2フェーズを開始した。実験では、リマの工科大学(University of Engineering and Technology: UTEC)がアメリカ航空宇宙局(NASA)のアドバイスを得て製作したキューブサット(小型人工衛星)内にジャガイモの塊茎を植え付けた。初期段階の実験でジャガイモの発芽が確認され、結果は良好と報告された。

 この実験は、火星環境下でのジャガイモの生育状況を観察することにより、火星での栽培可能性を検討することに加えて、気候変動や異常気象が起こっている地球上においてどの程度まで過酷な気象条件下でジャガイモの栽培が可能かを検証することを目的としている。ジャガイモがキューブサット内の環境で生育できれば、火星のように過酷な環境で栽培できる可能性が高いことになる。さらに、過酷な環境に適した品種や生育に必要な最低条件を検討するための実験も予定されている。

 実験では、キューブサット内に土と塊茎を入れた容器を置いて密閉し、栄養素を多く含んだ水を送り込む。キューブサット内は昼夜の気温、気圧、酸素・二酸化炭素濃度を制御して火星の環境を再現している。また、センサーがこれらの条件を常時モニタリングし、発芽の瞬間をとらえるためにライブストリーミングカメラで土の状態を記録している。

 実験に使用しているのはペルー南部の砂漠地帯の土で、火星の土に最も近いとされている。この土は塩分が強く乾燥しているが、これに肥料の入った土を加えることにより栄養素が供給されて土壌構造が整い、ジャガイモの生育が可能となることがCIPの実験で証明されている。

 CIPはこの実験の結果から、将来的に火星でジャガイモの栽培実験を行う際には、種子塊茎が十分な空気と水を取り込んで塊茎を形成することができるように、土壌構造が緩く栄養素を含んだ土を用意する必要があると結論付けている。

 CIPのワルテル・アモロス氏によれば、ジャガイモは過酷な環境に適応できる優れた遺伝的素質を有する作物であるという。CIPはこのジャガイモの素質を利用して、土壌塩分や干ばつに強いクローンの育種に取り組んできた。このようにして開発されたジャガイモが条件の悪い土壌において生育が可能であるという結果が得られたことで、これまで懸命に品種開発に取り組んできたCIPの努力が報われたと言える。この結果は、地球上で気候変動の影響を受ける地域における食糧安全保障強化の可能性を示すものでもある。


参考ニュースソース:Phys.org https://phys.org/news/2017-03-indicators-potatoes-mars.html