英国農業園芸開発委員会(AHDB)がジャガイモ疫病対策のためのウェブサイトを開設(2017/4/30)

 英国農業園芸開発委員会(Agriculture and Horticulture Development Board:AHDB)のジャガイモ部門であるAHDP Potatoesが、ジャガイモ疫病対策のためのウェブサイトを開設した。調査員がこのサイトを使用して疫病発生の報告を行うことで、より効率的な情報提供が可能になるという。


 ジャガイモ疫病は、Phytophthora infestansという病原菌によって起こる伝染病である。英国ではジャガイモの最重要病害として位置づけられており、例年5500万ポンドにものぼる大きな被害をもたらしている。ジャガイモ業界に与える影響の重大さを考えると、疫病の発生時に迅速に対応することと、毎年新たな菌株系統が出現していることの危険性について理解することが必要である。

 AHDB Potatoesは2006年以来、「Fight Against Blight(疫病と闘う)」キャンペーンとして疫病菌の分布密度の調査に取り組んできた。「Fight Against Blight」では、ブライトスカウトと呼ばれるボランティアによる各圃場でのサンプリング結果に基づき、疫病の発生状況および危険性を分析して英国内の業界関係者に通知するサービスを無料で提供している。ブライトスカウトは疫病の感染が疑われる圃場のサンプルを採取して食糧環境研究局(Food and Environment Research Agency:FERA)に送付し、一次検査で陽性となったサンプルがジェームズ・ハットン研究所に送られる。そこでの分析結果に基づいて疫病発生が疑われる地域および発生が確認された地域をマッピングし、情報をウェブサイト上で公開している。

 同キャンペーンは疫病のモニタリングにおいて大きな成果を上げてきたが、疫病菌は菌種系統が変化し続けているため、調査を継続して行うことが重要となる。そこで今回、AHDB Potatoesは、ブライトスカウトによる報告と利用者への情報提供をより効率的に行うための新たなウェブサイト「Fight Against Blight」(https://blight.ahdb.org.uk/)を開設した。知識交換担当部長を務めるクレア・ホッジ氏によれば、同ウェブサイトをブライトスカウトが利用することにより、疫病発生の報告が容易になり、発生初期の段階で疫病に対処することが可能になるという。同ウェブサイトでは、疫病発生情報の確認やアラートメール登録のほか、ブライトスカウトの登録も行うことができる。AHDB Potatoesでは、さらに多くのブライトスカウトの協力を得て、疫病に関する情報の普及に努めたいと考えている。

 また、今年からは、疫病が発生しやすい時期を予測するための基準としてこれまで使用されていたスミスピリオド(Smith Period)に代わって、ハットンクライテリア(Hutton Criteria)が採用されることになった。ハットンクライテリアはAHDB Potatoesが出資してハットン研究所が開発した基準で、これまで60年間にわたって使用されてきたスミスピリオドを進化させたものである。ハットンクライテリアでは、最低気温が10°Cまで低下し、かつ90%以上の相対湿度が6時間以上継続した日が2日連続した場合に疫病発生の危険があるとされる。これはスミスピリオドよりも厳格で信頼性の高い基準である。「Fight Against Blight」のウェブサイトでは、ハットンクライテリアを使用して疫病発生データベースを作成し、疫病対策の意思決定のための情報を提供している。


参考ニュースソース:AHDB Potatoes https://potatoes.ahdb.org.uk/news/get-blight-idea-revamped-tool-kit

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