特集 - ビーガントレンドは世界の農業構図を変えられるか!!ビーガン◆特集◆ ビーガントレンドは世界の農業構図を変えられるか?

 
 米国を中心とした欧米諸国では今、栄養学の研究成果に基づいた食事の革命が進んでいる。2015年に、WHOはハム・ソーセージ・ベーコンなどの食肉加工品を、タバコと同じ階級の発がん物質にリストした。そして、赤身の肉をそれよりはランクが一つ下がるが、同じく発がん性の疑いのあるものとしてリストした。現在、カナダでは国の食事のガイドラインから乳製品を外しており、カナダ人の10%はベジタリアンリアンであるという。大豆を主原料とした代替肉を生産する会社の株価は短期間で軒並み高騰している。代替肉の消費の方も、猛烈な勢いで増加している。その一方で、米国においては食肉加工場の閉鎖が相次いでいるという。この流れは、ただ単に健康志向だけを目指しているわけではなく、それが地球温暖化や食糧不足、水問題などの地球規模の危機的な状況の救世主的対策になるともいわれている。食料や医療、そして環境問題に至るまで広い範囲に影響を与えると考えられるこの流れには目が離せない。農業に対して大きな影響を与えるのは必定のようだ。それではいったいどこへ行くのか。弊社はこの問題について、継続的に追跡報告して、読者の皆さんの期待に応えたいと考えている。



【論説】ビーガントレンドの衝撃(Potato News Japan 2021/9/13)

 私事ではあるが、筆者は2020年の暮れに酷いに頭痛に見舞われて入院、軽い脳内出血と脳梗塞の兆候を指摘された。この症状はその後の治療で回復して、現在に至るまで再発の可能性はほとんどなくなった。しかし、それ以来頭痛の症状とは別にひどい首や肩のこりに見舞われて、健康不安が仕事や私生活に大きな影響を与えることになった。そんな中において、NetFlixの菜食をとりあげた「ゲームチェンジャーズ」というビデオを見て、食事の健康に与える影響の大きさについて、改めて考えるようになった。ビデオの中心課題である野菜食について改めて様々な資料を調べるにあたって、いわゆる「Vegan(ビーガン)」トレンドが決して一過性の流行ではなく、食事や健康、医療、そして環境問題にまで影響を与える非常に大きな渦の中心であることに気づかされることになった。
 そして筆者は、ほぼ3カ月前に様々な指導書に従って、肉や魚、乳製品といったものを一切とらない野菜食に切り替えたところ、それまでの健康不安を払拭できるのではないかと思えるほど、健康状態が改善されるという事実を確認することになった。この3か月間の中で筆者が感じた自らの健康上の変化は、①腹いっぱいに食事を取っているにもかかわらず、体重がほぼ2kg程度減少した(BMIの値はこの30年くらい肥満域であったのがいまは正常域に達しようとしている)、②コレステロール値が大幅に減少した(まだ上限値をわずかに上回っているが、最近はこの域に達したことは一度もない)、③EDに改善が見られた(EDについては年齢病であると考えていたが、驚いたことにこの年齢において改善された)など、顕著な変化を体現することになった。
 筆者はこの「Vegan(ビーガン)」トレンドが日本を含む世界において大きな影響を持ち、いずれ日本の農業に対しても影響力を持つものと考えている。従って、このトレンドについての様々な情報を、Potato News Japanの読者の皆様と強調したいと考えて、この特集記事を企画することとした。


コーネル大学栄養学博士、コリン・キャンベル氏の顛末

 コリン・キャンベル博士はもともと農家の家に育ち、乳製品の栄養をより高めるための研究をコーネル大学にて行っていた。ところが、博士がフィリピンの人々の食事と病気の関係を調べる機会に接して、西洋型の肉や乳製品を主体とした食事が病気の原因ではないかとの疑いを持つに至った。その後、中国において大規模な食事と癌などの病気との関係を調査する疫学的な研究に参加して、この確信は非常に確かなものであると考えるに至った。しかし、博士の研究上の主張は、既得権益者の反感を買うことになり、様々な圧力の中で大学を追われることになったが、このことは正しい栄養学知識を普及させるための博士の努力を再燃させることになった。博士は、今日の「Vegan(ビーガン)」トレンドの先駆的な科学的成果をもたらした研究者として、再評価されている。
現在、T.Colin Campbell
Center for Nutrition Studies(ウエブサイト:T. Colin Campbell Center for Nutrition Studies)を主催して、同氏の栄養学の成果の普及に努めている。


コールドウェル・エセルステン博士
 エセルステン博士は外科医として、長年癌の治療や心臓病の治療に取り組んできた。1970年代から80年代にかけて、氏はクリーブランド・クリニックの乳がん治療タスクフォースチームを率いていたが、来る日も来る日も乳がん患者の治療に明け暮れても、一向に患者が減っていかない現実に大いに悲観していたという。ところが世界的視野でみると、ケニヤの乳がん患者は米国の実に30~40分の1に過ぎず、1950年代の日本の農村では乳がんは実にまれな病気であった。しかし、その日本人が米国に移住して、二世・三世の時代になると、乳がんの発生率は米国の白人と代わらないレベルになった。
 そして、氏は乳がんの治療に取り組む傍ら、食事療法で24人の心臓病患者を治療するという取り組みを始めた。博士によると、当時の氏の主要な業務を行いながら治療できる人数がこの程度であったという。そして、この取り組みは驚くべき成果をあげることになり、氏は植物を基礎とする食事こそ医療に勝る強力な健康増進手段であることに確証を得て、今日までその普及に努めてきた。


マイケル・グレガー博士

 マイケル・グレガー博士は「食事のせいで死なないために」というベストセラーで有名な医師である。氏は幼い時に祖母が心臓病で医者からも見放されて、自宅で療養していた時に、当時食事療法による健康増進を勧めていたクリニックの最初の患者となって、その後劇的な健康を回復したという経験に基づき、医師を目指した。そして、食事の健康に与える影響についての論文をすべて読んで、多くの人に正しい健康維持のための食事の大切さについて、啓蒙を繰り返している。
現在はNutritionFacr.orgというホームページを通じて、健康に対する食事の重要性について、啓蒙活動を続けている。






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