2023年3月1日、株式会社TOMTEN、土着きジャガイモ完全無人自動選別機「スマートグレイダー」の発売を発表

スマートグレイダー

株式会社TOMTEN(トムテン)(山道社長)は、今春よりオランダで好評を博している土着きジャガイモ完全自動選別機「スマートグレイダー」の日本での販売を開始すると発表した。

日本の農業のみならず、先進国の農業はどこも深刻な人手不足にあえいでおり、特にジャガイモやタマネギなどの選別人員の確保が大きな課題となっている。オランダでは生食用のジャガイモは洗浄されて包装出荷されることが多く、洗浄されたジャガイモの光学選別はかなり自動化が進んでいるが、種イモなどの洗わないジャガイモの自動選別は技術的な難易度が高く、実用的な選別機の普及はなかなか進まなかった。しかしながら、オランダは世界一の種イモ輸出国であり、土着きジャガイモの完全無人自動選別は高いニーズが明らかな選別機メーカーの重要な開発テーマであった。

スマートグレイダーはオランダのGejo(ヘヨー)社が開発した洗わないジャガイモの選別に特化した選別機であり、種子ジャガイモの生産者や洗浄しないで生食用に出荷している生産者を中心に長らく続いたコロナ感染蔓延の時代に静かに普及が進んでいた。

「カメラ技術自体は人間の眼よりもはるかに精度の高いものがすでに普及しており、それ自体に目新しさはない。それよりも、その画像から人間が識別するのと同じかそれ以上の選別を可能にするソフトウェアーの開発が大きな課題であり、スマートグレイダーの開発にもオランダのソフトウェアー会社が参加しており、開発されたソフトには特許も取得されている。」と山道社長は説明する。「問題はマーケットの大きさにある。」と言葉をつなぐ。「オランダの農業市場においてもこのような選別機に対してのニーズは小さくないが、通常オランダのメーカーは最低でも欧州一円での販売を期待して開発を目指すのが普通であり、ソフトウェアー開発への投資も十分なリターンが期待できると考えられている。しかし、日本ではこの小さなマーケットでの販売を目指して開発投資したとしても、果たしてペイするかどうかが問題になる。」

ところで、このような無人選別において機械の能力を発揮させるためには選別にかけるジャガイモの前段での乾燥が重要とのことである。TOMTEN社がこのスマートグレイダーの導入を目指すことになった理由は、同社が10年以上もジャガイモなどの農産物の乾燥貯蔵に最新技術を投入して品質確保に努めてきたノウハウとの相乗効果が望めるからである。

スマートグレイダーでは傷や黒あざ病やそうか病などの病斑のある塊茎やハリガネムシの食害のある塊茎や緑化イモなど、欠点のある塊茎の選別が可能であり、一個の塊茎に対して32枚の画像を撮影してサイズと品質・形状の面からの選別を行うという。 TOMTEN社では人手不足に苦しんでいる日本ジャガイモ産業の救世主になるものと大きな期待を寄せている。

この選別機が稼働中のときの動画にもご覧くださいませ

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